カッコつけてなんでも自分の責任にすると心が持たない話

その昔、外資系企業で働いていたときの話です。

私の担当していたプロジェクトはとある大手企業のウェブサービス。

米国本店担当者の勘違いにより、そのサービスが予定していたローンチ日の前にウェブ上で一般公開されてしまうという事件がありました。

現場はパニック。

とにかく一刻も早く非公開の設定にすべく、米国本店に連絡。

なんとか非公開の設定にはできたものの、当然先方の担当者は激怒。

「一体御社の管理体制はどうなってるんですか?」

「こんなの普通に考えてありえませんよ?」

胃がキリキリと痛むようなクレーム。

謝るしかありません。

「申し訳ございません。」

そう謝りながら、

「もっと自分にできることはなかったのか?」

「米国担当者が誤解しないようにするためにはどうすればよかったのか?」

当時の私はそうやって

”本当に自分は100%できることをやったのか?”

と、何度も心の中で繰り返し自問自答して苦しんでいました。

なんでも自分ごととして捉え、責任感を持つ。

カッコよく、できるビジネスパーソンの考え方。

至極真っ当だと思います。

ですが、仕事をしていると、どうしても自分のコントロールが及ばない範囲でミスが起こることがあります。

誰かに仕事を頼んだけど、それが全然できていなかった、

商品の配送を頼んだが、運送会社の手違いで届いてなかった、

そんなことは日常茶飯事。

それを一つ一つ自分の責任として感じていたら、まず自分の心が持ちません。

確かに、仕事に責任感を持って取り組むことは大事ですし、自分ごとで考えることで、より良いアウトプットが生まれることがあります。

ですが、仮に200%自分が仕事で努力したとて、その努力が及ぶ範囲以外でミスや予期せぬ出来事が起こることはあります。

すべてを自分の責任として考えては、メンタルがやられてしまいます。

仕事をしているとミスは必ずといっていいほど起こります。

その時に私たちが取れる選択肢は二つだと考えられています。

自分の責任として受け止めるのか、それとも、他人のせいにするのか。

実はそれ以外にも選択肢があって、

自分が関われた範囲では責任を受け止めるが、それ以外は受け流す、

ということ。

もし、タフなビジネスパーソンを目指すのであれば、ここを追求するといいかもしれません。

世間一般では全てを自分のこととして責任を感じることが「正」なのでしょう。

ですが、現実のビジネスの世界で生き抜くためにはそうはいきませんから。

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